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11年目の新たな挑戦 MBSD Cybersecurity Challenges 作問者が語る、課題づくりの舞台裏
学生を対象としたセキュリティコンテスト「MBSD Cybersecurity Challenges(以下、MBSDCC)」が、第11回を迎えました。
これまで専門学校生と高等専門学校生を対象としてきたMBSDCCは、今回、高校生、大学生、大学院生にも対象を拡大。10年間大切にしてきたものを受け継ぎながら、新たな一歩を踏み出します。
作問や審査を担当するメンバーが集まり、コンテストが始まった背景、課題づくりで大切にしていること、MBSDCCならではの特徴について語りました。
座談会参加者
-
国分 裕
MBSDフェロー。MBSDCCに初回から関わり、現在も企画・レビューを通じて全体を支えている。 -
洲崎 俊
第11回MBSDCC総合責任者。コンテスト全体の企画・運営を統括。 -
廣田 一貴
作問、レビュー、報告書評価、最終審査会での評価を担当。 -
白倉 大河
作問、レビュー、報告書評価、最終審査会での評価を担当。 -
齊藤 和輝
作問および競技環境構築を担当。初めて作問に参加。 -
服部 慎二
作問・レビューを担当。学生時代にMBSDCCへ2度出場し、いずれも入賞。うち1回は優勝を果たした。
1.若い世代にセキュリティの仕事を知ってもらうために
-初回からコンテストに関わる国分さんに伺います。MBSDCCはどのような狙いで始まったのでしょうか。
国分
それまで、ほとんど新卒採用をやっていなかったので、若い人たちとの接点があまりなかったんです。こういうイベントを通じて、セキュリティが好きな人たちと接点を持てたらいいんじゃないかなと思ったのが、始めたきっかけです。
それから、我々が普段の業務で何をやっているのか、知ってもらう機会もあまりありませんでした。診断やログ解析などの業務をコンテストのテーマにして、セキュリティの仕事を知ってもらいたいという思いもありました。
-この10年で、参加する学生の皆さんに変化を感じますか。
国分
学生の皆さんの方が、コンテスト慣れしてきている感じはあります。レポートのよい書き方などが、代々引き継がれているんですかね。「こういうことをやると点数が高いよ」というのが、共有されている感じはありますね。(笑)
2.より多くの学生が参加できるコンテストへ
11年目の最も大きな変化は、参加対象の拡大です。
-今回、参加対象を拡大した理由を教えてください。
洲崎
単純に、より多くの学生に参加していただきたい、というのが一番ですね。
このコンテストをきっかけに、学生の皆さんにセキュリティの仕事の面白さや魅力を感じてもらいたいという思いがあります。
あとは、コンテストを通じて、MBSDという会社についてもなるべく広く知っていただきたい。そういう背景があって、今回対象を拡大しました。
-作問体制も変わりました。今回、服部さんと齊藤さんが加わった狙いを教えてください。
洲崎
既存のメンバーだけだと、アイデアが凝り固まってしまうところがあるので、新しいメンバーに加わってもらった方がいいと思っています。
二人とも、脆弱性診断の業務を担当しています。課題を作る人自身が、実際にサービスを提供している方が、より作問の解像度も上がるのではないかと思っています。
そういう面でも、新しく加わってもらってよかったですね。
蓄積してきた知見に新しい視点を取り入れながら、第11回のコンテストが開催されています。
3.参加者だった学生が、作問者になるまで
学生時代にMBSDCCに挑んだ服部さんが、今度は次の参加者に課題を届ける側になりました。
-作問者として声がかかったとき、率直にどのように感じましたか。
服部
こんな立場になることは、全く想像していなかったですね。(笑)
まだ新卒2年目で、特に突出したセキュリティ系のスキルを持っているわけでもないので、自分がどこまで貢献できるのか、結構不安でした。ただ、学生時代に参加者として出場していた経験を活かせる部分もあるのではないかと思い、挑戦してみました。
-学生として参加したとき、特に印象に残っていることはありますか。
服部
最初に参加した、Webクローラーをテーマにしたコンテストですね。
作ったツール自体の性能は、ほかのチームの方が断然よかったんです。「あ、これは優勝はしないだろうな」と思っていたんですけど、最終審査会で印象に残るプレゼンテーションができて、逆転で優勝しました。
個人的には、それがとてもいい経験でした(笑)。
洲崎
覚えてますよ。
MBSDCCでは、純粋に技術的に優れているかだけではなく、プレゼンテーションや報告の仕方、独自性といった点も含めて総合的に評価しています。
服部さんのチームは、そういうところのポイントが高かったので、優勝になったのかなと思います。
-参加経験は、その後の学びにどのような影響を与えましたか。
服部
自分は専門学校生だったので、学校でやることは資格の勉強や座学が中心でした。
ツールを作ることなど、学校では習わない新しい領域に取り組めたことが大きかったです。それに、自分たちで考えて形にしたものをMBSDに評価してもらい、ポートフォリオにすることもできました。
コンテストへの参加をきっかけに、自分でツールを一から作るようになったり、新しい考え方に触れたりして、自分ができる領域が増えたと思います。
-参加者側から見て、コンテストはどのような印象でしたか。
服部
もう、すげえ尖ってるってイメージでした(笑)。
華々しく宣伝しているわけでもないのに、出てくる課題は、ほかのコンテストとは違う一風変わったものだったので。
洲崎
「ああ、そういうふうに見えるんだな」と思いましたね。
率直なフィードバックをもらえたのは、ありがたかったと思っています。
参加者として感じた驚きや難しさを知っているからこそ、次の参加者にどのような体験を届けたいかを考えられる。服部さんの存在は、MBSDCCが積み重ねてきた歩みを象徴しています。
4.「脆弱性を見つけて終わり」ではない
-今回は、脆弱性診断をテーマにしています。このテーマを選んだ理由と、課題の特徴について教えてください。
洲崎
過去のアンケートで一番人気が高かったのが、脆弱性診断というお題でした。当社の作問チームにとっても、専門分野で、ノウハウがあります。今回は参加者の拡大という点で新たにチャレンジしている側面もあり、安定感のある脆弱性診断を再びテーマとしました。
ただ、簡単に解けてしまうと全然面白くない。なかなか解けないものも含めて出題していますので、ぜひ挑戦してみてください、という感じですね。
-初めて作問に参加した齊藤さんは、MBSDCCの課題にどのような特徴を感じましたか。
齊藤
こういう大会は、CTFのように脆弱性を探すことに特化しているのかなと思ったら、そうでもなくて。
脆弱性が、Webサービスやアプリケーションにどのような影響を与えるのか。そういう視点があるかないかで、提出される報告書の質もだいぶ変わってくると思います。
この大会の形式には、MBSDがどのような人材を求めているのかも表れていると感じました。
※CTF(Capture The Flag):セキュリティの知識や技術を使って問題を解き、得点を競う競技形式
5.調査し、判断し、伝える力
-実際の業務では、技術者にどのような力が求められますか。
廣田
Webアプリケーションの脆弱性診断では、ターゲットが絞られているので、一つに対する深い理解がめちゃめちゃ求められます。
必須項目を見た後は「変なパラメータを投げたときの、この挙動ってなんだろう」と、ひたすら考える。場合によっては、自分で環境を作って、実際に再現してみます。
コードを書きながら、「こういうコードだったら、このエラーが出る」「こうすると出ない」「では、こういうパラメータを投げたら何か問題につながるんじゃないか」というところまで考えていきます。
ペネトレーションテストでも、もちろん深掘りは大事です。ただ、シナリオによっては多数あるホストや環境に対して広く見ながら、いろいろな情報を調べることが求められる場合もあります。
一つを深掘りする経験は必要です。でも、一つだけにとらわれず、「これはダメっぽいな」と思ったら、潔く別の入口に行く、その割り切りや直感も、大事だと思っています。
白倉
私は、少し違う切り口になりますが、技術の深掘りだけではなく、報告や診断の進め方にも着目してほしいと思っています。
CTFでは脆弱性を見つけること自体が中心になりますが、このコンテストでは、どのように報告するか、危険性をどう判断するかという実務に近い部分も重要になります。
実際のセキュリティ業務でも、技術だけでなく、それをどう伝え、どう判断するかが求められます。この機会に、脆弱性調査にとどまらない点に目を向けていただけると、勉強の仕方や学びも変わってくるのかなと思います。
6.「これがMBSDの人材力なのか」
作問チームには、経験も専門も異なる技術者が集まっています。
-作問チームのメンバーと一緒に課題をつくる中で、印象に残ったことはありますか。
齊藤
自分にない視点を、皆さんがたくさん持っていると思いました。
議論したり、普通に会話したりする中で、「こういう知識が、こういうふうに生かされるのか」と気づくことが結構あって。
これがMBSDの人材力なのか、という気はしています。
作問とはいえ、「業務では実際どうなのか」というところに、かなり注力していたと思います。ほかのCTFとは、本質的に違う議論がたくさんありました。
自分が実際にやっている業務にも生かせそうなことが、結構あったと思いますね。
学生向けの課題でも、実務の目線で妥協しない。その議論の過程にも、MBSDの技術文化が表れています。
7.作問者から、挑戦する学生の皆さんへ
最後に、学生の皆さんへ一人ずつメッセージをもらいました。
服部
ずっと参加者側だった立場から言うと、このコンテストは、実業務に似ていると実感しています。
求められるのは、スキルだけではありません。ツールを作ることや、チームで作業すること、課題に対してどんな考えを持って、どう答えるか。
学生時代の自分にとって、それを考えるよいきっかけになったので、皆さんにも参加してほしいです。
齊藤
自分が学生だったら、このコンテストに参加したいと思います。
仕事を頼むというのは、最後はやはり人だと思っています。「この人に仕事を頼もう」と思ってもらうためには、技術だけではなく、チームで切磋琢磨した経験や、お客様により満足してもらうために、どうしたらいいだろうと試行錯誤した経験も大切です。
提出する報告書や、報告会をどのように進めるかを、他の人に評価してもらう機会は、他にはなかなかないと思います。
参加する皆さんには、コンテストを通じて、そういう体験をしてもらえたらうれしいです。
白倉
結構、珍しいタイプのコンテストだと思います。
実務と全く同じではないですが、CTFとはまた少し違った気持ちで、取り組んでもらえればと思います。報告書にも力を入れてもらえると、面白いんじゃないでしょうか。
難易度の高いCTFと比べると、初心者でも発見しやすい問題も含まれているので、興味のある方はまずエントリーしてみてください。よい経験になると思います。
廣田
技術的なところを面白いと思っている人は、ぜひ参加してみたらいいんじゃないかなと思っています。
「今後役に立つから、これをやろう」と考えるより、せっかくコンテンツがあるんだから、とりあえずやってみる、でいいんじゃないかなと(笑)。
今回はチーム編成が可能なので、とりあえず、いろいろな人に声をかけてみるのもいいと思います。
一つの問題を、いろいろな人の進め方を見ながら解いていく。隣の人がどうやっているのかを見て、そこからも学ぶ。お互いに情報交換しながら高めていけると思います。
遊び心を持って取り組めるコンテンツの一つとして、楽しんでもらえたらうれしいですね。
洲崎
もう10年くらい続けてきたので、過去にコンテストへ参加してくれた方の中には、服部さんのように当社へ入社してくれた方もいますし、業界の第一線で活躍している方もいます。
コンテストをやっていて一番うれしいのは、そういう方から、「とても面白かった」「いいきっかけになりました」といったフィードバックをいただくときです。
やっていてよかったな、と本当に思います。
サイバーセキュリティの実業務に関わるテーマにチャレンジする経験は、それほど多くありません。
このコンテストが、参加する皆さんにとって何かのきっかけになり、将来的にサイバーセキュリティに興味を持ってもらえたら、非常にうれしいです。
国分
作問者は毎年課題を作っていますが、半分遊びで、だからこそ全力で、頭を悩ませながら課題作成に取り組んでいます。「尖ったコンテスト」と言われましたけど、よくあるCTFに最近ちょっと飽きてきたという人には、ぜひチャレンジしてもらえればと思います。
最初から自信がある必要はありません。「面白そう」と思ったら、ぜひ仲間を誘って参加してみてください。作問者一同、皆さんの挑戦をお待ちしています。
第11回 MBSD Cybersecurity Challenges 開催概要
- 対象:日本国内に居住する、2026年4月1日時点において15歳以上25歳以下の学生・生徒
- 参加形式:個人または4名までのチーム
- エントリー期間:10月31日まで受付中
- 詳細・エントリー:第11回セキュリティコンテスト MBSD Cybersecurity Challenges 2026
関連動画|MBSDの技術者のキャリアを知る
社員が自身のキャリアやジョブチェンジについて語る動画「キャリアパス&ジョブチェンジ座談会」も公開しています。
本記事に登場する白倉さんも出演しています。