本サイトは、快適にご利用いただくためにクッキー(Cookie)を使用しております。
Cookieの使用に同意いただける場合は「同意する」ボタンを押してください。
なお本サイトのCookie使用については、「個人情報保護方針」をご覧ください。
近年、サイバー攻撃の手口はますます巧妙かつ複雑になっており、セキュリティ対策は「導入して終わり」ではなく継続的な監視と運用が不可欠となっています。
しかし、自組織で24時間365日体制のセキュリティ監視運用を行うには、専門人材の確保や運用コストの面で大きな負担が生じます。
こうした課題を解決する手段として注目されているのが、専門事業者による「SOC(Security Operation Center)」サービスの活用です。
SOCとは、セキュリティ監視運用を専門に行う組織・体制のことで、これを外部の専門事業者に委託することで、高度な監視・分析体制を効率的に実現できます。
また、組織の規模や体制に応じて、完全委託から自組織体制との組み合わせまで、柔軟な運用形態を選択することも可能です。
本記事では、SOCの基本的な役割や機能に加え、運用形態の違いや導入時に押さえておきたいポイントを、セキュリティ担当者向けにわかりやすく解説します。
SOCとは|セキュリティ運用における位置づけと機能
この章では、SOCの基本的な役割や機能、類似組織との違いについて解説します。
SOC(Security Operation Center)の定義と役割
SOC(Security Operation Center)とは、企業や組織の情報システムに対して、インシデントの発生を検知するためのセキュリティログ監視や、インシデント発生後の深掘分析を行う専門のチームまたは施設のことです。
日本語では「セキュリティ運用センター」とも表記され、「ソック」と呼ばれています。
SOCの主な役割は、ネットワークや端末などのIT環境全体を監視し、不審な通信やアクセスを早期に検知することです。
さらに、単なるアラートの検知にとどまらず、収集されたログやイベント情報を分析し、それが実際に脅威であるかどうかを判断します。
こうした高度な分析能力が組織の迅速かつ的確な対応を可能にし、被害の最小化と事業継続に貢献します。
SOCの4つの主要機能
SOCは、以下の4つの機能を中核として組織のセキュリティ監視運用を提供します。特に日本では、これらの運用機能を中心としたSOCが広く採用されています。
- リアルタイム監視と分析
ネットワーク機器、サーバー、クラウドサービス、エンドポイント、セキュリティ対策製品からのアラートなどから収集されたログやフロー情報をもとに、脅威をリアルタイムで検知する機能です。
ファイアウォール、IDS/IPS、WAF、EDR、Active Directory、クラウドサービスの監査ログなど多様なソースを統合的に監視します。
単なる個別システムの監視にとどまらず、複数のログデータを相関分析することで、単一のシステムでは見逃しやすい攻撃の兆候や、時系列での攻撃パターンを検出することが可能となります。
例えば、複数の端末で同時期に発生した異常なアクセスログや、段階的に権限昇格を試みた形跡などを総合的に分析し、高度な脅威を早期に発見します。 - イベントデータの保管・利活用
収集した各種イベントデータを長期保管し、後の調査や分析に活用する機能です。
この機能では、SIEM(Security Information and Event Management)等を活用して、データを正規化・統合し、潜伏型攻撃(侵入後もしばらく気づかれず内部で活動する攻撃)や複数イベント間の関連性を分析します。
データの保管により、攻撃の全体像を把握し、フォレンジックや法的対応にも備えることができます。
SIEMについては以下の記事で詳しく解説しています。
SIEMとは?基本から機能・導入メリットまで解説 - 通知とエスカレーション
検知した脅威について、その深刻度や影響度に応じて関係者へ通知し、対応を促す機能です。
システム管理者、経営層、関係部署などの関係者に対して、適切な内容とタイミングで情報を発信します。
通知する情報は、単なるアラートの転送ではなく、状況を整理し、関係者が次にとるべきアクションを明確に示すことで、迅速かつ的確な意思決定を支援します。 - レポート対応と問い合わせ支援
日々の監視結果やインシデント対応状況について、定期レポートの作成や関係者からの問い合わせ対応を行う機能です。
検知内容の詳細説明、追加分析の実施、対策の効果検証などを通じて、単なる報告にとどまらず、継続的な改善と対話型のセキュリティ運用を実現します。
SOCはこれら4つの機能を提供することで、組織 のセキュリティ体制を総合的に支えています。
CSIRTとの違いと連携関係
SOCと混同されやすい組織に、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)があります。両者は連携して活動することもありますが、その役割には明確な違いがあります。
SOCは日常的な「監視・検知・分析」を担当し、CSIRTは「インシデント対応・復旧」を担当するとして、機能と役割を分けて運用されているケースが一般的です。
SOCが脅威を検知した後、CSIRTが対応することで、切れ目のないセキュリティ体制が実現します。
こうした役割分担により、SOCは平常時のリスク管理を、CSIRTは緊急時の対応を担い、それぞれの専門性を活かしたセキュリティ体制を実現できます。
インシデント対応、CSIRTについては以下の記事で詳しく解説しています。
インシデント対応の基本から実践まで | 効果的な対処と体制構築の方法
CSIRTについては以下の記事で詳しく解説しています。
CSIRT(シーサート)とは?SOCとの違いや導入方法、運用のポイントを広く解説
なぜSOCが必要なのか?3つのセキュリティ課題
組織がSOCの導入を検討する背景には、従来のセキュリティ対策では対応しきれないさまざまな課題の存在があります。
ここでは、代表的な3つの課題について解説します。
サイバー攻撃の高度化
現在のサイバー攻撃は、標的型攻撃や多段階攻撃、AIを活用した自動化攻撃など、ますます巧妙化・複雑化しています。
なかでもAPT(Advanced Persistent Threat)攻撃では、攻撃者が長期間にわたりネットワーク内に潜伏し、段階的に情報を窃取する手法がとられます。
このような脅威に対応するためには、複雑な攻撃パターンを見抜く高度な分析力と、最新の脅威情報に基づく継続的な監視体制が必要です。
しかし、こうした専門的な知識と技術を自組織で維持することは容易ではありません。
そのため、セキュリティ監視運用を担う組織・体制としてのSOCの重要性が高まっているのです。
24時間監視体制の維持
クラウド活用やグローバル展開が進む現代では、企業のIT環境は昼夜を問わず稼働しており、セキュリティ監視も24時間体制が求められます。
特に夜間や休日など、対応体制が手薄になる時間帯が狙われることも多く、実際に重大インシデントの多くがその時間帯に起きています。
一方で、自組織のみで24時間365日の監視体制を維持するには、専門人材の確保や運用コストの面で多大なリソースが必要となります。
こうした課題に対し、継続的な監視体制を提供できるSOCの活用が注目されています。
IT環境の複雑化
リモートワークの普及、クラウドサービスやIoT機器の導入、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などにより、組織のIT環境は急速に複雑化しています。
これに伴い、守るべき領域も拡大しています。
こうした分散・多層化した環境では、個別のシステムごとに監視するだけでは全体像を把握できず、セキュリティの穴が生じやすくなります。
環境全体を横断的に監視し、どの地点で脅威が発生しても即座に検知・対応できる体制が求められます。
このような統一的なセキュリティ管理を実現する組織・体制として、SOCの役割が重要になっています。
SOCの運用形態|内製・外部委託・ハイブリッド
SOCを導入する際には、自組織に最適な運用形態を選ぶことが重要です。
ここでは主要な3つの運用形態である「内製型SOC」「外部委託型SOC」「ハイブリッド型SOC」について、それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。
内製型SOC
内製型SOCとは、組織が内部に監視体制を構築し、社員によってSOCを運用する形態です。
この形態の最大のメリットは、自組織のシステムや業務特性に精通したスタッフが対応することで、状況把握や意思決定が迅速かつ的確に行える点です。
インシデント対応の柔軟性が高く、機密情報の管理においても外部に依存しないため、機密性の高い情報を扱うシステムに適しています。
一方で、SOC体制の維持には多くの専門人材が必要となり、採用・育成の負担が大きくなります。
加えて、最新の脅威動向のキャッチアップも自組織で行う必要があるため、人材面・コスト面での継続的な投資が不可欠です。
外部委託型SOC
外部委託型SOCは、専門のセキュリティ事業者にSOC業務をアウトソースする形態です。
この形態のメリットは、専門家の知見と技術力を活用できる点です。
高度な専門知識を持った人材による分析や、最新の脅威情報をもとにした迅速な対応が期待できるほか、専門人材で構成された監視体制を効率的に実現できます。
しかし一方で、自組織のシステムへの理解が限定的になりやすく、サービス品質が委託先の運用成熟度に左右されるリスクもあります。
また、契約条件によってはカスタマイズの範囲が制限され、対応の柔軟性に欠ける場合もあります。
そのため、選定の際には自組織の要望を整理したうえで、十分な吟味が必要です。
ハイブリッド型SOC
ハイブリッド型SOCは、内製と外部委託の両方の利点を組み合わせた形態です。
たとえば、平日日中は内製チームが監視を行い、夜間や休日は外部パートナーに委託する「時間分担型」、一次分析は外部に任せ、二次分析は内製にて行う「機能分担型」など、さまざまな運用パターンが存在します。
この形態の利点は、自組織の体制を外部サービスで補完しながらSOCを形成できる点です。
専門性と自組織への理解のバランスをとりやすく、コスト面でも柔軟な調整が可能です。
ただし、内外の役割分担や情報共有が不十分だと、対応の遅れや責任の不明確化を招く恐れがあるため、明確なルールと連携体制の構築が重要です。
SOCセキュリティ導入のポイントと注意点
SOCを効果的に導入するには、自組織の状況に合わせて最適な運用形態を選び、信頼できるベンダーと連携しながら体制を構築することが大切です。
自組織に合った運用形態の選び方
まずは、自組織のセキュリティ人材リソースや監視対象のIT環境、求めるセキュリティレベルを把握することから始めます。
社内に専門人材が豊富にいる場合や、機密性の高いデータを扱う企業・組織では、内製型SOCの実現性を検討します。
一方、人材確保が難しい場合や効率的な運用を優先する場合は、外部委託型やハイブリッド型による導入が合理的です。
また、監視対象のシステム数や構成の複雑さも重要な判断材料です。
多種多様な技術が混在している環境では、外部パートナーの専門性を活用するメリットが大きくなります。
外部パートナー選定のチェックポイント
外部委託型やハイブリッド型を導入する際には、外部パートナーの選定が重要です。
押さえておくべき確認ポイントは以下の6つです。
- 自組織が求める機能が必要十分に提供されるか
- 最新の脅威情報に基づいた分析能力があるか
- 通知の内容とスピード、エスカレーション対応が迅速かつ明確か
- サポート体制(対応時間、言語、コミュニケーション方法など)が充実しているか
- 提供される機能(サービス)に柔軟性があり、カスタマイズが可能か
- 提供サービスの価格が予算範囲内で妥当か
これらを総合的に評価し、自組織に最適なパートナーを見つけましょう。
導入時の注意点
SOCの導入を円滑に進めるためには、技術面・運用面の両方から事前準備を進める必要があります。
技術面では、SOCを導入する環境(監視対象を含む)の整理や、導入環境の状態見直し、導入目的や技術的な要件の明確化を行います。
また、SOCで利用するSIEMや、監視に利用する各種ツールとの連携も確認しておくとよいでしょう。
運用面では、SOCからの報告を受ける社内体制の整備が重要です。
夜間・休日のインシデント連絡先の明確化、関係部署との連携手順の整備など、実運用を見据えた準備が求められます。
SOCの導入は一度に完璧を目指すのではなく、段階的な目標とプランを立てたうえで進めることが重要です。
運用フローやルールを調整しながら、自組織に合ったSOC体制を確立していくことが、効果的なセキュリティ体制構築のカギとなります。
まとめ
高度化・多様化するサイバー攻撃に対応し、事業を継続するため、SOC(Security Operation Center)は現代の企業や組織にとって重要な体制のひとつとなっています。
24時間365日の監視体制や迅速なインシデント対応を実現するSOCは、企業・組織の信頼性を高め、事業継続を支える基盤とも言えるでしょう。
三井物産セキュアディレクション(MBSD)では、企業・組織のSOC機能に関する多様なニーズに対応する2つのSOCサービスを提供しています。
- ASOC(Advanced SOC)は、お客様の要件に応じて柔軟なカスタマイズが可能なSOCサービスです。
独自の検知・分析ルールの作成、カスタムダッシュボードの提供、さらにインシデントレスポンスサービスとの統合により、より包括的なセキュリティ体制の構築が可能です。
また、内製支援から完全委託まで、幅広い運用モデルに対応し、お客様の体制やリソース状況に最適化したサービスを提供します。 - MBSD-SOC (MBSD Managed Security Service)は、MBSDがサポートする特定のセキュリティ製品に対して、SOCアナリストが監視・運用を代行するマネージドサービスです。
24時間365日体制での常時監視により、大量のアラートの中から緊急性の高いものを選別し、お客様へ通知して迅速な対応の着手を支援します。
さらに、ポリシーのチューニングや最新の脅威に対応する設定変更も代行し、お客様の運用負荷を大幅に軽減します。
SOCの導入をご検討の際は、ぜひお気軽に当社までご相談ください。
関連資料のダウンロードはこちら
MBSD セキュリティ監視サービス
おすすめ記事