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ログ管理
ログ管理とは
ログ管理とは、システムやアプリケーションが記録する「ログ(log)」を収集・保存・分析し、適切に管理することを指します。ログは、システムの動作やユーザーの操作、エラーメッセージなどを時系列で記録したもので、IT環境における「履歴」としての役割を果たします。ログ管理の目的は大きく3つあります。
●セキュリティ対策
サイバー攻撃は日々進化しており、マルウェア感染や不正アクセスなどの脅威が企業のIT環境を狙っています。ログを適切に管理することで、不審なアクセスや異常な動作を早期に発見できます。
例えば、
- 短時間に大量のログイン試行(ブルートフォース攻撃の可能性)
- 通常とは異なるIPアドレスからのアクセス(アカウント乗っ取りの可能性)
- 特権ユーザーの異常な操作(内部不正の兆候)
などをログ分析で検知することで迅速な対応が可能になります。また、サイバー攻撃や情報漏洩が発生した場合、原因を特定するためにはログの存在が不可欠です。
●システム運用の最適化
システム障害の原因を突き止める際に、ログを分析することで、どのプロセスで問題が発生したのかを特定できます。サーバーのパフォーマンス低下やアプリケーションのクラッシュが発生した際も、ログを確認することで迅速な原因究明と復旧が可能になります。
●コンプライアンス(法規制)対応
多くの業界では、情報漏洩防止や内部不正対策のために、一定期間ログを保存することが求められています。
例えば、
- 金融業界: FISC(金融情報システムセンター)のガイドラインに基づいたログ管理が必要。
- GDPR(EU一般データ保護規則): データ処理活動の証跡としてログ保存が義務付けられている。
- ISO 27001: 情報セキュリティ管理の一環として適切なログ管理が求められる。
ログの種類
ログは用途に応じて異なります。代表的な種類は以下のとおりです。
● システムログ: OSやミドルウェアが出力するログ。
● アプリケーションログ: ソフトウェアやWebアプリが記録するログ。
● セキュリティログ: ファイアウォールやID管理システムのアクセス履歴。
それぞれのログを適切に分類し、管理することが、セキュリティ対策やシステム運用において重要になります。
セキュリティ監視・ログ分析ツール
セキュリティログを収集・分析するには専用のツールを活用することで、効率的な運用が可能になります。
● SIEM(Security Information and Event Management): 複数のシステムのログを統合し、全体的なセキュリティイベントを一元管理したい場合に適しています。特に、複数のログソースが存在し、相関分析によって脅威を検知する必要がある企業や大規模な組織では、SIEMの導入が有効です。ただし、導入には統合作業が必要であり、運用には専門的な知識やリソースが求められます。
● EDR(Endpoint Detection and Response): 各エンドポイント(端末)に対する脅威の監視と対応を重視する場合に適しています。特に、従業員のPCやサーバーなどの端末レベルでのセキュリティ対策を強化したい場合に有効です。EDRはリアルタイムの異常検知と自動対応機能を備えているため、端末におけるマルウェア感染や不審な動作を即座に検出し、対策を講じることができます。ただし、各端末にエージェントを導入する必要があるため、管理・運用負担が増加する可能性があります。
● クラウドベースのログ管理: クラウド環境向けの監視が必要な場合に適しています。クラウドベースのインフラやアプリケーションの監視を重視する企業では、これらのサービスを活用することで、ログの収集や監視を簡単に行うことができます。従来のオンプレミスのシステムよりも導入が容易であり、運用コストを抑えながらセキュリティ管理を行うことが可能です。
どのツールを導入するべきかは、組織の環境と目的に応じて決定する必要があります。例えば、大規模な企業であればSIEMとEDRを組み合わせて包括的なセキュリティ対策を構築するのが望ましいでしょう。一方で、中小企業やクラウド中心の環境では、SIEMのような大規模なシステムを導入せずに、クラウドベースのログ管理とEDRを併用するのが効果的な選択肢となることもあります。結論として、必ずしも3つのツールすべてを導入する必要はなく、環境やリスクに応じて適切な組み合わせを選択することが重要です。
ログの収集と分析の手法
ログの収集と分析は、効果的なログ管理の基盤となります。ログの収集方法には、エージェントベースとエージェントレスの2つのアプローチがあります。エージェントベースでは、各端末やサーバーに専用のソフトウェアをインストールし、リアルタイムでログを収集します。一方、エージェントレスでは、リモート接続やシステムの標準機能を利用してログを収集し、導入の手間を軽減できます。
ログ分析の手法としては、リアルタイム分析とバッチ分析があり、リアルタイム分析は不正アクセスや異常検知の即時対応に適しています。例えば、SIEMを活用することで、不審なアクセスパターンを即座に検出し、セキュリティ担当者に通知できます。一方、バッチ分析は長期間のデータを対象にした傾向分析や監査向けに利用され、業務改善や異常パターンの発見に役立ちます。
近年では、機械学習を活用した異常検知も普及しており、ルールベースでは検知できない新しい攻撃手法や内部不正の兆候を発見するのに役立ちます。例えば、深夜や休日など、通常の業務時間外に発生する異常なデータ転送や、特定のユーザーによる不審な操作を自動的に検出することが可能です。
ログの保存期間と規制対応
ログの保存期間は、業界や適用される規制によって異なります。例えば、金融業界ではFISCのガイドラインに基づき7年間のログ保存が求められることが一般的です。GDPR(EU一般データ保護規則)では、データ処理活動の証跡として最低限必要な期間ログを保持することが義務付けられています。一方、ISO 27001では、組織のリスク管理方針に応じた適切な保存期間を設定し、必要な監査証跡を確保することが求められます。組織は、適用される規制を踏まえ、適切なログの保存期間を定めることが重要です。