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サイバー攻撃の手口が高度化・巧妙化するなか、Webアプリケーションやシステムの脆弱性を早期に発見し、リスクを最小限に抑えることが求められています。そうした中で注目されているのが「脆弱性診断ツール」の活用です。
しかし、「どのツールを選べばいいのか判断できない」「ツール診断と手動診断の違いが分からない」といった声も多く聞かれます。
本記事では、脆弱性診断ツールの仕組みや種類、手動診断との違い、選定時のポイントについてわかりやすく解説します。自社に合った診断手法を見極め、セキュリティ対策の効果と効率を高めるヒントとしてご活用ください。
脆弱性診断ツールとは?
脆弱性診断ツールは、システムやWebアプリケーションにおけるセキュリティ上の弱点を自動で検出するソフトウェアです。
脆弱性診断ツールの基本的な仕組み
脆弱性診断ツールは、対象システムに対して自動的にスキャンを行い、既知の脆弱性パターンと照合することで脆弱性の有無を判定します。たとえば、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といった代表的な攻撃手法を模擬的に実行し、システムの反応に基づいて診断を行います。
スキャンの結果は詳細なレポートとして出力され、発見された脆弱性の重要度や対応方法に関する情報も含まれます。人手に頼らず短時間で多くのチェック項目を処理できる点が大きな特長です。
多くのツールでは、CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)などの脆弱性データベースを参照し、最新の脅威情報に基づいて診断を実施します。そのため、新たな脆弱性に対する対応も迅速に行えます。
脆弱性診断とペネトレーションテストとの違い
脆弱性診断とペネトレーションテストは、どちらもセキュリティ評価を目的としていますが、アプローチや目的などに違いがあります。
脆弱性診断 | ペネトレーションテスト | |
手法 | 自動スキャン中心の網羅的診断 | 専門家による攻撃シミュレーション |
主な目的 | 既知の脆弱性の洗い出し | 実際に侵入できるか・影響が出るかの検証 |
対象範囲 | システム全体 | 特定の攻撃経路やリスクの高い領域 |
実行時間 | 数時間~数日 | 数週間~数ヶ月 |
コスト | 比較的低コスト | 高コスト |
検出精度 | 広範囲をカバーするが深い検証は難しい | 範囲は限定的だが深い分析が可能 |
ペネトレーションテストは、攻撃者の立場を再現して実際の侵入を試みることで、セキュリティ対策の実効性を検証します。一方、脆弱性診断は自動化によって広範な対象を効率的に確認でき、定期的なチェックに適しています。
両者は競合する手法ではなく、それぞれの役割と得意分野が異なるため、目的に応じて適切に使い分けることが重要です。
脆弱性診断ツールの種類
脆弱性診断ツールは提供形態や費用構造によって分類されます。組織のニーズに応じて適したタイプを選ぶことが重要です。
- クラウド型とオンプレミス型
クラウド型は、インターネット経由で利用する形式です。初期導入が容易で保守も手間がかからず、常に最新の情報に基づいた診断が行えます。スケーラビリティが高く、複数システムの管理にも向いています。
一方、オンプレミス型は自社環境にインストールして利用する形式です。機密性の高い環境に適しており、カスタマイズ性にも優れます。ただし、保守や運用は自社で対応する必要があり、専門知識が求められます。 - 無料ツールと有料ツール
無料ツールは、導入コストを抑えられる反面、機能が限定的なことがあります。オープンソースが多く、基本的な診断には対応していますが、高度な機能やサポートは期待できません。
有料ツールは、機能が充実しており、精度の高い診断やレポート作成、サポート体制が整っています。企業の本格運用にも適しており、長期的には費用対効果が高くなるケースもあります
ツール診断(自動診断)と手動診断の違い
脆弱性診断を効果的に行うためには、ツール診断と手動診断それぞれの特性を理解し、システムの目的や規模に応じた使い分けが求められます。
ツール診断の特徴/メリット・デメリット
ツール診断の主な特徴は自動化による効率性です。一度設定すれば人の手を介さずに診断が実行でき、複数システムを同時に検査できます。定期的なスキャンによる継続的な監視も可能です。
メリットとしては、広範囲を短時間・低コストで診断できる点があります。たとえば、大規模なWebサイトでも数時間でチェックが完了し、標準化されたレポートで結果が提示されます。人的スキルに依存せず、一定品質の診断が実現できます。
一方で、対応できるのは既知の脆弱性パターンに限られ、アプリケーション特有の業務ロジックや複雑な認証制御などの診断には限界があります。誤検知や見逃しが発生する可能性もあるため、結果の精査が求められます。
手動診断の特徴/メリット・デメリット
手動診断の特徴は、専門家による柔軟かつ深い検証です。 エンジニアがシステム構成や業務フローを理解したうえで攻撃手法を再現し、ツールでは検出困難な問題も洗い出します。
最大のメリットは、高精度な脆弱性の特定が可能な点です。運用上の不備や設計レベルの問題にも対応でき、実際のリスクを踏まえた改善提案が得られます。
デメリットとしては、診断に時間と費用がかかり、また診断の精度が担当する技術者のスキルに左右される点が挙げられます。
脆弱性診断ツールの選び方と注意点
適切な脆弱性診断ツールを選ぶには、以下の観点を総合的に評価することが重要です。
押さえるべき選定ポイント
- 診断対象・範囲
診断するシステムの種類により、適したツールが異なります。Webアプリ向けツールはSQLインジェクションやXSSなどに強く、インフラ全体に対応するものはOSやネットワーク設定のリスク検出に適しています。
また、OWASP Top 10の対応状況や、API・モバイルアプリ診断の可否なども確認が必要です。CI/CDやクラウド連携に対応しているかも、近年では重要な選定基準となります。 - コストと費用対効果
ツールの導入にかかるコストは、初期費用だけでなく、ライセンスの更新料、保守費用、運用に必要な人件費なども含めた総所有コスト(TCO)で評価する必要があります。スキャン対象のシステム数や規模によって料金が変動するケースもあるため、将来的な拡張も見据えた選定が求められます。
また、手動診断と比較してどの程度コスト削減できるかもポイントです。複数回の診断が必要な場合はツール導入が有利ですが、実施頻度が少なければ外部委託のほうがコストを抑えられることもあるため、年間計画に応じた判断が必要です。 - 操作性と運用面
操作のしやすさや運用負荷の軽さも大切です。専門知識があれば高機能なツールも選べますが、そうでない場合は直感的に扱えるUIやヘルプ機能が整ったものが安心です。
また、サポートの対応範囲やスピード、日本語対応の有無、学習コンテンツの提供状況なども事前に確認しましょう。複数システムを診断する場合は、結果を一元管理できるかどうかも選定のポイントになります。
選定時の注意点
ツール診断だけでセキュリティが万全になるわけではありません。診断結果には誤検知が含まれる可能性もあるため、社内で結果を精査し、対応の優先順位を判断できる体制づくりが必要です。重要なシステムには、専門家による手動診断との併用を検討しましょう。
ツール診断と手動診断のハイブリッド活用が効果的
最も効果的な診断アプローチは、ツールと手動診断を組み合わせ、それぞれの利点を補完する方法です。これにより精度と効率の両立が図れます。
ハイブリッド活用のメリット
- 効率性と精度の両立
ツール診断により広範囲を効率よくスクリーニングし、複雑または深刻な脆弱性に対しては手動診断で詳細な検証を行うことで、コストを抑えつつも高い診断品質を実現できます。 - 段階的なセキュリティ強化に対応
初期段階ではツール診断によって基本的なセキュリティレベルを確保し、システムの成長や重要性の高まりに応じて手動診断を追加することで、運用実態に即した効果的な対策が取れるようになります。 - システムの重要度に応じた柔軟な適用
診断対象となるシステムの機密性や重要性に応じて、診断手法を使い分けることが重要です。一般的には、情報の機密性が低いシステムではツール診断中心、高度なセキュリティが求められるシステムでは手動診断重視、といった使い分けが効果的です。- ツール診断中心: 情報提供用のWebサイト、開発・検証環境など(比較的機密性が低い)
- ハイブリッド診断: 顧客情報を扱うサービスサイト、会員制システムなど(中程度の重要性)
- 手動診断重視: 決済機能、個人情報を多く扱う業務アプリケーション、外部連携APIなど(機密性・影響度が高い)
ハイブリッド診断プロセスの例:MBSDのアプローチ
三井物産セキュアディレクション(MBSD)では、次の3段階のプロセスにより、ツールと手動のハイブリッド診断を実施しています。
Phase1 検出・分析
独自開発の高精度な診断ツールを活用しながら、セキュリティエンジニアが多角的に診断結果を分析します。ツールの効率性を活かしつつ、専門家の視点で結果を評価することで、単純な自動診断では見逃されがちな問題も発見できます。
Phase2 手動診断
ツールでは対応しきれない項目や、ビジネスロジックに関わる特有の問題に対し、専門家による詳細な手動診断を行います。顧客独自の業務フローを理解したうえで、実際の攻撃シナリオに基づく検証を実施し、より実践的な脆弱性評価を提供します。
Phase3 リスク評価
複数のエンジニアが結果をレビューし、誤検知の除外や脅威度・影響度の評価を実施。実際に対処すべき脆弱性を特定します。実際に対処すべき脆弱性を特定し、お客様のビジネスへの影響を考慮した優先順位付けを行うことで、効率的な対策実施をサポートします。
このようなアプローチにより、実用的かつ精度の高い診断が実現されています。
より詳細な内容は、以下のサービスページをご確認ください。
セキュリティ診断 | 三井物産セキュアディレクション株式会社
まとめ
脆弱性診断ツールは、効率的なセキュリティ対策の一環として有効ですが、選定時には診断対象・コスト・操作性を踏まえた判断が重要です。また、ツールだけでは対応しきれない高度な脆弱性や設計上の課題に対しては、専門家による手動診断を組み合わせることで、より実践的な対策が可能になります。
三井物産セキュアディレクションでは、ツールと専門家による手動診断を組み合わせたハイブリッド診断を通じて、各システムに最適なセキュリティ対策を提供しています。
セキュリティにお悩みの際は、ぜひご相談ください。
関連サービス
・Webアプリケーション診断 | 三井物産セキュアディレクション株式会社
・ネットワーク診断 | 三井物産セキュアディレクション株式会社
・スマホアプリ診断 | 三井物産セキュアディレクション株式会社
参考:
脆弱性診断サービス・ツール比較15選!選び方や無料ツールも
脆弱性診断ツールの種類や選び方のポイント
脆弱性診断ツールとは?種類や導入するメリット・デメリット、選定ポイントを解説
脆弱性診断の悩みを解決するヒント集【1】脆弱性診断手法の違いと使い分け
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